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絶対に知っておきたいスリープテックまとめ!市場規模や製品事例からその実態を解説!

コロナ禍の在宅勤務や外出制限など、これまでとは違う生活スタイルへの変容からストレスや睡眠の質の低下を感じる方も増えているかもしれません。そんなライフスタイル変化から、時間の有効活用や生産性の向上に目が向いている中で、近年注目を集めているのが「スリープテック」です。

スリープテックは、睡眠の質の向上を目的とした最先端ITソリューションをいいます。テレビや新聞でスリープテックという言葉は目にする機会も増えてきましたが、詳しく知る機会はなかったという方も多いでしょう。

この記事では、そんなスリープテックの実態について、市場規模や海外・日本の動向、そして製品事例などの観点から解説していきます。

目次

スリープテックの市場規模は2024年に10兆円

スリープテック

スリープテックへの関心が高まりが本物なのか、これから成長していく市場なのか、その実情は非常に気になるところです。

そこで、まずは具体的な数値でスリープテックの現在と未来を深堀りしていきましょう。

結論から言えば、スリープテック市場は日本国内だけでなくグローバルで成長市場となっています。

日本のスリープテック市場は、寝具新聞社の調査から2020年の市場規模は1.2兆円以上、潜在市場は3兆〜5兆円にのぼると言われる一大市場です。

一方のグローバルのスリープテック市場も、インドのリサーチ会社Accurize Market Researchによると年6.2%の成長を続けています。

そして、2024年には約1,000億ドル、日本円にして約10兆円規模にまで拡大する予測です。

10兆円の市場規模というと、国内のEコマース市場が2020年に到達見込みと言われている数値ですので、スリープテックの急成長ぶりがうかがえるでしょう。

出典:ACCURIZE Market Research 「Sleeping Aids Market Global Scenario, Market Size, Outlook, Trend and Forecast, 2016 – 2025」

このように国内外でスリープテック市場が拡大していく背景には、大きく次の2つの要因が考えられます。

  • 睡眠への関心の高まり
  • 先進IT技術による後押し

睡眠への関心の高まり

日本を始めとする先進国において、睡眠時間は年々減少の一途をたどっており、現代人の睡眠への関心度が高まっています。

生活スタイルや価値観の変容に合わせて、睡眠の質を向上させることで生産性や幸福度の向上を図る考えでしょう。

現代人が持続的に発展を遂げていく1つの可能性として、スリープテックは大きな注目の的になっているのです。

先進IT技術による後押し

スマホの普及を発端として、IoTやAIなどの先進IT技術の発展がスリープテックの成長環境を大きく後押ししています。

具体的には、IoTがセンサーで取得した膨大なデータを通信を利用してクラウドに保存、そしてAIがそのデータを分析して、アプリでの見える化やデバイスの自動制御を可能にしているわけです。

スリープテックに限らず、同様の形で先進IT技術の進歩を背景に新たなビジネス創出が加速しています。

スリープテックの海外最新事情

スリープテックという言葉は、2016年にアメリカのランド研究所が睡眠に関する発表から使われており、その主戦場は海外です。

実際に、世界最大の家電見本市CESで2018年からスリープテックのゾーンが新たに設けられ、年々スペースを広げている事実から関心の高さが伺えます。

また、アメリカ疫病予防管理センターのデータでは、アメリカ成人の約35%が睡眠時間が6時間未満であり、慢性的な寝不足の解消は一般市民の大きな現代の社会課題とも言えます。

出典:アメリカ疫病予防管理センター

このような睡眠に対する関心の高まりから、海外でも多くの大手企業がスリープテック市場に参入を始めています。

ヘルスケアメーカーのフィリップスや音響メーカーのBOSE、スマートウォッチメーカーではAppleやGARMINと、参入している企業の業種や業界はさまざまです。

また、スリープテックにおいてもITスタートアップの存在は大きく、シリコンバレーを有するアメリカをはじめ、フランスやオランダ、イスラエルなど、非常にグローバルな競争が始まっています。

日本国内のスリープテック動向

日本国内でも、働き方改革やコロナ禍による在宅勤務の増加などを背景に、スリープテックは存在感を日に日に増してきています。

もともと日本国民も海外同様に睡眠への関心は高く、2017年発売された書籍「スタンフォード式 最高の睡眠」のベストセラーとなったことは記憶に新しいです。

また、アメリカのランド研究所は、睡眠不足による生産性の低下は、日本に18兆円もの経済損失をもたらしている、という衝撃の研究結果を発表しています。

このような背景から、海外諸国から若干の遅れをとったものの、スリープテックは日本でも大企業を中心にビジネス界からの大きな注目の的の1つとなっています。

実際に、2019年の「日経×TECH EXPO」では「スリープテックEXPO」が特別企画として開催されました。

中でも、日本国内のスリープテック動向として注目したい企業が、『ポケモンGO』など海外でキャラクターコンテンツで確固たる地位を築いている、ポケモン株式会社です。

実は、2019年の戦略発表会で「睡眠をエンターテイメントにするアプリ」をコンセプトとした『Pokemon Sleep』で2020年にスリープテック市場へ参入することを発表したのです。

2020年6月現在で詳細は未発表ですが、老若男女問わずに日本国内でスリープテックが浸透する1つのきっかけになるかもしれません。

もちろんこのほかにも、すでにパラマウントベッドなどの大手寝具メーカーをはじめ、他業種からもスリープテック市場への参入が始まっています。

KDDIやANA、東京電力、東急不動産は、フランスベッドとスリープテック分野での協業を発表しており、今後も大きな盛り上がりが期待できるでしょう。

このように、日本国内でもビジネス界隈だけでなく、一般の方にも広く睡眠やスリープテックの普及に向けた機運の高まりを見て取れる状況になっています。

スリープテックの3つのアプローチと製品事例

スリープテック

スリープテックと一口に言っても、どのように睡眠の質を改善させるか、そのアプローチの仕方によって製品の方向性が大きく異なります。

ここでは、スリープテックの代表的な3つのアプローチに沿って、具体的な製品事例を紹介していきます。

  • 睡眠状態を可視化・分析するスマホアプリ
  • 快適な睡眠導入・起床をサポートするデバイス
  • 睡眠中の体勢を最適化するスマートベッド

睡眠状態を可視化・分析するスマホアプリ

最もイメージのしやすいスリープテック製品は、睡眠状態をチェックできるデバイスとスマホアプリの組み合わせでしょう。

センサーで睡眠データを取得して、眠りの状態をスマホアプリに可視化することで改善のアクションに役立てるわけです。

当初は、スマートウォッチやヘルスヘアバンドなど腕に装着するものが一般的でしたが、着用感の違和感や精度面が課題でした。

今ではその課題を解消すべく、ベッドや枕自体をIoT化したものから、ヘッドギア、マットレス下に敷くシート、枕に取り付けるバッジまで、製品形状は多様化が進んでいます。

また、取得する睡眠データも、睡眠中の動作や心拍数、体温、睡眠時間といった基本データに加えて、脳波や眼球運動など非常に多岐にわたるデータを用いて精度アップを図っています。

さらには、膨大な研究データとAIによる分析から、あなたの睡眠をスコアリングしたり、睡眠の改善に役立つ情報を見つけ出してアドバイスするものも登場しています。

快適な睡眠導入と起床のサポートするデバイス

スリープテックの代表的な事例として、部屋の環境を変化させて、快適な睡眠導入や起床をサポートするデバイスも増えてきています。

基本的なアプローチとしては、視覚や聴覚、嗅覚といった人間の五感に対して直接的に働きかけ、寝付きの良さや快適な目覚めをサポートします。

具体的には、光や音、におい、脳波、振動、温湿度を調整することで、睡眠・起床時に最適なリラックス効果や刺激を与えるわけです。

たとえば、オランダのスタートアップSomnox社のスリープテック製品は、赤ちゃんほどの大きさのスリープロボットです。

だきまくらのように抱きしめていると、使用者の呼吸のタイミングに合わせて振動し始めます。使用者は徐々にリラックス状態になり、自然と眠りに落ちるというわけです。

このほか、製品事例としてはスマートライトやイヤホン、アロマポッド、スピーカー付きの枕、瞑想アプリなどもあります。

今後はAIの高精度化が進むことで、より個々人に最適でレベルの高いサポートが期待できるようになるでしょう。

睡眠中の体勢の最適化するスマートベッド

深い睡眠をキープするために、睡眠中の人間の体勢を最適化するスマートベッドも、近年目にすることが増えてきたスリープテック製品の1つです。

スマートベッドを導入すると、内蔵センサーが計測している睡眠状態と身体の位置関係から、より深い睡眠をキープするためにベッド形状を自動で調節してくれます。

たとえば、アメリカのSleep Number社のスマートベッドは、バイオメトリクス睡眠測定機能を備え、寝返りなどの動きに合わせてベッドの硬さや圧力を変化させます。

また、日本のパラマウントベッドからも、睡眠状態に合わせてベッド形状を自動調整する「アクティブスリープ」が展開されています。

膝や腰を曲げた理想的な入眠姿勢のベッド形状では寝返りが打ちにくいため、入眠を確認すると自動で寝返りが打ちやすいフラット状態に変形してくれるのです。

前述した2つのアプローチに比べると、スリープベッドは高価になりそうですが、その値段に見合う高価が期待できるかもしれません。

スリープテックはこれから盛り上がる成長市場

スリープテックは、すでに日本・海外で1つの市場を形成しており、将来的にも市場拡大する予測があります。

そして、名だたる世界の大手企業はもちろん、新進気鋭のスタートアップも次々に参入が続くビジネス界で注目の市場です。

また、人生の3分の1を費やす睡眠時間の改善を図ることは、残りの3分の2の活動時間に大きな変革を与える可能性を十分に秘めています。

スリープテックはビジネスパーソンとして、そして消費者としても見逃せないこれから熱い市場といえるでしょう。

コロナ禍によるライフスタイルの変容からストレスや睡眠不足を感じている方は、スリープテックに触れることが1つの解決策になるかもしれません。

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