枕が洗えるかどうかは素材次第。正しい洗濯方法や干し方で枕を清潔に
枕には寝ている間に見えない汚れがたくさん付きます。汚れが気になる人は、『家庭で洗濯できる枕』を探してみましょう。枕が洗えるかどうかは、ほとんどの場合素材によって決まります。洗える枕の見分け方と洗濯方法を、素材ごとにおさらいしましょう。
枕ってお手入れすべき?
枕には、どの程度汚れが付いているものなのでしょうか?汚れた場合、どのようにお手入れするべきなのかも気になるところです。枕の汚れの度合いとお手入れの目安を見ていきましょう。
枕の正しい洗い方は、本体に縫い付けてある『洗濯表示』タグを見れば分かります。もしタグが付いていない場合は、取り扱い説明書の指示に従いましょう。
見えない汚れがたまっているかも
毎晩頭や顔が触れる枕には、『汗』や『皮脂』、『唾液』などが付着します。こうした汚れは枕カバーを通過し、枕本体にも浸透してしまうものです。
枕カバーをこまめに取り替えていても、枕本体を洗わなければ浸透した汚れは蓄積したままになっています。汚れをエサとして、イヤな臭いの元となる雑菌やダニが繁殖する可能性が高まるでしょう。
そのままにしておくと『ハウスダストアレルギー』を引き起こしたり、頭皮や肌にとってもプラスにはならなかったりすます。カバーだけでなく、枕本体のお手入れも欠かさないようにしましょう。
洗う頻度はどれくらい?
枕を清潔に保つためには、どれのくらいの頻度で洗えばよいのでしょうか?『厚生労働省』が旅館業に対して示している管理要領によると『6カ月に1度』は寝具を丸洗いすることが求められています。
布団及び枕にあっては、6月に1回以上その汚れ等を除去するため丸洗い(洗濯物に洗剤液及び水を直接吹きつけるなどして行う洗濯方法であり、もみ洗い処理工程がないものをいう。以下「布団丸洗い」という。)を行うことが望ましいこと。
出典:公衆浴場における衛生等管理要領等の改正について|厚生労働省
自宅の枕も洗濯可能なものであれば、半年に1度を目安に丸洗いするとよいでしょう。特に洗えないタイプの枕は、こまめに干すことで雑菌の繁殖を抑え、清潔さを保てます。
洗える枕・洗えない枕ともに『週に1度』程度は外に干し、風に当てて枕の中の湿気を乾かすのがおすすめです。
新しくなった洗濯表示で洗い方を確認
枕については、まず『洗濯表示マーク』で洗濯機で洗える・手洗いできる・水洗いできないのどれに当てはまるかをチェックしましょう。
マークのデザインは、2016年12月から変更されています。新記号は、洗濯・漂白・乾燥・アイロン・クリーニングの5項目で一つずつ『基本記号』が付いているのが特徴です。洗うものごとに温度や洗い方が『付加記号』として組み合わされます。
水が入ったタライのようなイラストに『40』などの数字が入っていれば、洗濯機で洗濯可能です。数字は水温の上限を表しているため、表示温度以下の水で洗いましょう。40の場合は、水温が40℃以下になるように調整します。
タライの下の横線は、水流の強さを表す付加記号です。線がないものは普通の強さで洗って構いません。ただし線が1本なら『弱い』、2本なら『非常に弱い』水流で洗う必要があります。
タライに『手』のイラストが描いてあるマークのものは、洗濯機は使えませんが手洗いならできます。タライに『バツ印』が描かれたものは、そもそも水洗いができません。
洗える枕の素材別の特徴
枕が水洗いできるかどうかは、中の素材で決まるといってよいでしょう。洗える素材にもいくつか種類があり、それぞれ洗い方が異なります。
洗える素材を使っていても、『洗濯機で洗えるもの』と『手洗い推奨』に分かれることも少なくありません。
洗う前に、必ず洗濯表示を確かめるようにしましょう。家庭で水洗い可能とされている素材について、主な特徴を紹介します。
ふっくらとしたポリエステル製の綿
ふっくらと柔らかな感触の綿は、枕の素材にもよく使われています。ポリエステル製とひと口にいっても『人工綿』と『天然の綿』があり、人工は天然に比べて綿ボコリが出にくいのがメリットです。
基本的には水洗いもでき、衛生的に使えるでしょう。水洗いできないタイプの場合、洗ってしまうと中の綿が固まりになって偏ることがあります。初回は洗濯表示を見て、洗えるか確認しましょう。
万が一、洗えない場合でも、天日干しはできる素材です。こまめに干してお手入れしましょう。綿は若干吸湿性が弱めの素材ですが、適度に干して中の素材を乾かせば蒸れを防げます。
通気性のよいパイプ
ポリエチレンなどの化学繊維で作られたパイプは、枕の中身として人気の素材です。ホコリが付きにくいうえ天然素材に比べて劣化しにくく、通気性も申し分ありません。
ストローを短くカットしたような形で中が空洞になっているため、枕にこもった熱や湿気を効率的に逃がしてくれます。水洗い可能なものが多く乾くのも早いため、こまめに洗濯して清潔を保つことが可能です。
パイプが傷んだら新しいものに交換することもでき、本体を毎回買い換える必要がありません。パイプの量を増減させて、枕の高さを調整しやすいのも大きなメリットといえます。
フィット感の高いビーズ
ビーズにはいろいろな種類があり、水洗いできるものとできないものに分かれます。
粒が小さな『発泡ビーズ』は、なめらかな肌触りが心地よく首や肩によくフィットする点が人気です。
水を吸収しやすく乾きにくいため、『水洗いはできない』と考えておきましょう。仮に洗えるものであっても、軽さから洗濯機の中で浮いてしまいうまく洗濯できなかったり、中身が出てしまったりするおそれもあります。
一方で、粒がやや大きめのプラスチック製で中が空洞になっている『マルコビーズ』は、基本的に水洗いが可能です。枕から取り出して、ザルを使って洗えばひと粒ずつがしっかりきれいになります。
洗濯機で洗う場合は、柔軟剤を入れて弱めのコースで洗うのがポイントです。プラスチック同士が擦れると、静電気が発生します。より強く帯電する物体へ引きつけられる性質があるため、ビーズ同士がくっついたり洗濯機に負担をかけたりするかもしれません。
柔軟剤は衣類をやわらかく仕上げるのが魅力ですが、成分のほかに衣類の摩擦をやわらげて、繊維の電気を逃がす役割もあります。洗濯後は、手洗い・洗濯機ともに中の空洞に入りこんだ水分が完全になくなるまで、しっかり乾かしてから枕に戻しましょう。
枕を洗濯機で洗う方法
枕を洗濯機で洗えると、お手入れがとても楽になります。洗濯表示を確かめ、洗濯機が使えるようならぜひ活用しましょう。枕を洗濯機で洗うときの基本的なやり方を紹介します。
カバーを外してネットに入れる
枕を洗濯機に入れる前に、カバーを外しておきます。素材を包み込む本体の『側生地』に目立つ汚れが付いていたら、洗剤を原液のまま塗ってしばらく置き、汚れを浮かせましょう。
古い歯ブラシなどを使って洗剤を泡立て、汚れになじませてあげます。洗剤が汚れに吸着したら、洗い流せばOKです。
パイプやビーズなど、中身を出し入れするためのファスナーが付いている場合は、洗濯中に飛び出さないようにしっかりと閉じておきます。準備が終わったら枕のサイズに合う洗濯用のネットに入れて口を閉じ、洗濯を始めましょう。
ドライコース・手洗いコースで優しく洗う
枕は、ほかの衣類とは別にして洗濯するのが基本です。『ドライ』や『手洗い』『おうちクリーニング』など、水流が弱めのコースで優しく流れるように洗濯します。
使用する洗剤は、『おしゃれ着用の洗剤』がよいでしょう。繊細な素材を洗うとき向けに、洗浄成分が『中性』になっています。洗浄力の高いとされる洗剤の多くは、皮脂などの酸性の汚れに強いアルカリ性です。中性は洗浄力はやや落ちるものの、素材をいたわりながら洗えます。
同コースでは、脱水の強さも強すぎないように調節されています。側生地の縮みや中身の偏りを防ぐため、脱水時間は短めにしてもよいでしょう。
水流と脱水に気をつけることで、『手洗い』に近い洗い方を目指せます。洗濯が終わったら枕を取り出し、軽く叩いて中身をならしてから干しましょう。
枕を手洗いする方法
続いて、洗濯機で洗えない枕を手洗いする方法を解説します。枕が大きすぎて洗濯機に入らないときも、こちらの方法を使いましょう。
洗剤を溶かしたぬるま湯を用意
最初に枕カバーを外し、汚れが目立つ箇所に洗剤を付けて汚れを浮かせておきます。タライや洗面ボウル、バスタブなど『枕が完全に水に浸かる』広いスペースにぬるま湯をため、おしゃれ着用の中性洗剤を適量溶かします。
手洗いの場合、お湯の温度は『40℃』が上限です。繊維や中の素材を傷めてしまう可能性があるため、40℃を超えないように注意しましょう。
枕を浸して揉み洗い
洗剤溶液が準備できたら、枕全体を浸して端の方から揉み洗いします。洗剤が枕の内部に浸透するように、手でゆっくりと揉みこんでいきましょう。
まんべんなく洗い終えたら、洗剤の泡が出てこなくなるまで水を換えながらよくすすぎます。すすぎの後は、手で数回押して水分を追い出し、形を整えて乾燥させましょう。
枕を干すときのポイント
水洗いした枕はしっかりと乾燥させないと、水分が残ってカビや臭いのもとなる雑菌が好む環境です。せっかく洗った枕は、清潔な状態を保ちましょう。素早く正しく乾燥ポさせるポイントを見ていきます。
タオルを使って水分を取る
枕を強い力で脱水すると、中身がよれたり生地が縮んだりすることがあります。洗濯機を使う場合は、脱水時間を短めにしておく必要があるでしょう。手洗いの場合も、強い力で絞ることはおすすめできません。
しかし脱水時間が短いと、枕の中に水分が残って乾きにくくなります。枕の水分を取るには『大きめの乾いたタオル』が便利です。
脱水後の枕をタオルで包み、軽く押しながら水分をタオルに移していきましょう。濡れた靴先に新聞紙を入れると、乾いた紙が水分を吸収して靴が早く乾くのと同じような原理です。水分が多いときはタオルを取り替え、同じように繰り返します。
干す前に形を整えよう
どんなに優しく洗っても、洗濯後の枕は多少形が崩れているものです。そのまま干すとしわになったり元の形に戻らなくなったりすることあります。『濡れているうち』に、しっかりと形を整えておきましょう。
また、水分が多く残っていて重さがある場合、吊るして干すと枕の中身が下の方に偏ってしまいます。平干し用のネットなどに乗せ、『横にした状態』で干すことをおすすめします。
風通しのよい場所を選んで
洗った枕は、できるだけスピーディーに乾燥させたいところです。カビや雑菌は30℃くらいの気温の中、汗や湿気などの水分とホコリや皮脂をエサとして繁殖するといわれています。
干し方は枕によって異なり、『乾燥機が使えるもの』もあれば、熱に弱く『天日干しすらできない』素材もあるでしょう。洗濯表示タグに素材ごとの干し方が書いてあるため確認が必要です。
チェックしたい基本記号は『乾燥』に関するマークで、干し方が付属記号でわかります。正方形の中に円があり、さらに点が1~2個描かれたマークがあれば、『乾燥機』の使用が可能です。
また、正方形の中に縦や横の棒が描いてあるマークは『自然乾燥』の方法を示しています。縦の棒は『吊り干し』、横の棒は『平干し』の意味です。天日干しができないものには、左上に斜めの線が入っています。
自然乾燥の場合は、枕干し専用のハンガーやネットなどを用意しておくと便利です。天日干しは枕の側生地が日焼けで色あせてしまうことがあるため、薄い布などをかけておきましょう。天日干しも陰干しも、できるだけ風通しのよい場所を選ぶと早く乾きます。
人気メーカーの洗えるおすすめ枕
人気メーカーの枕には機能性が高いものが多く、購入後の満足度も高いでしょう。おすすめの洗える枕を三つ紹介します。
頭にフィットする形「京都西川 ウォッシャブル枕」
有名布団メーカー『京都西川』の枕です。『かさ高』のある特別構造の中綿により、ふんわり・ふっくらとした使い心地が特徴です。
真ん中のくぼみに頭がすっぽりと収まり、包み込まれるようなフィット感があります。中綿はポリエステル製で、家庭で手洗いが可能です。側生地はブルー・ピンク・ベージュの3色から選べます。
あらゆるニオイを消臭「フランスベッド ボディテクトピロー」
『フランスベッド』が独自に開発した新素材『ブリーズレイ』を使用した枕です。ブリーズレイは通気性がよく熱や湿気がこもりにくいポリエチレン素材で、暑い夜もムレにくいとされています。
湿気がたまりやすい枕の裏側は、通気性のよいメッシュ生地です。側生地とブリーズレイは、それぞれ水洗いができます。
側生地には速乾性のあるポリエステル素材のキルティング生地を用い、さらりとした肌触りです。キルティングの中綿には、ハウスダストと臭いにアプローチする『アレルα(アルファ)+5』加工を施してあります。
ハウスダストアレルギーの原因とされるダニの死がいやフンなどを無害化し、家庭内の5大悪臭といわれる汗・タバコ・ペット・排せつ物の臭い及び加齢臭の因子を分解することが目的です。
水はけをよくするメッシュ切り替え「エムール 乾きが早い洗える枕」
洗える枕は衛生的ですが、乾くのに時間がかかると衛生的な状態を保ちにくくなるデメリットがあります。『エムール』の枕は、側生地の隅がメッシュ切り替えになっており、反対側にはループが付いたデザインです。
洗った後、ループ部分を洗濯ばさみで吊るせば、枕が斜めになります。反対側のメッシュ部分から水分が出て早く乾く仕組みです。洗濯機で洗えるため、手洗いの手間も省けます。
天気のよい日なら、朝洗濯してその日の夜にはきれいな枕で眠れるでしょう。高さは低めの『約8cm』と高めの『約11cm』の2種類から選べます。
お得な価格が魅力の洗える枕
家族全員の枕を買い換えたり、来客用の枕をそろえたりなど、できるだけお得な価格で購入したいケースも多いのではないでしょうか?低価格でも使い勝手のよい洗える枕を紹介します。
ホコリが出にくい「アイリスプラザ 洗えるウォッシャブル枕」
家庭で手洗いができるポリエステル綿の枕です。中がストローのように空洞になっている『中空綿』を使っており、たっぷりと空気を含むためボリューム感があります。
中空綿は一般的な綿に比べてちぎれにくく、綿ボコリが少ないのもメリットです。幅43cm・長さ63cmで、寝返りをうつ際にもしっかり受け止めてくれるでしょう。値段も1000円前後と手ごろで、洗える点を含めコスパは抜群です。
柔らかな高めの枕「大判ポリエステル枕(ウォッシュJN HI)」
洗濯機で洗える『ニトリ』の枕です。包み込まれるような寝心地の大判サイズで価格は1000円弱ながら洗濯もでき、清潔感を保ちやすいでしょう。
中綿はポリエステル100%で、柔らかな素材質感ながらも、高さは11cmと高めに作られています。少しへたってきたように感じたときは、枕の上下・左右をそれぞれ持ってほぐすように広げましょう。最後に両手で枕の両面を数回挟みこむように叩くと、ふんわりとしたボリュームがもどります。
洗えない枕のお手入れ方法
今使っている枕や欲しいと思った枕が洗えない素材のとき、清潔を保つためにはどのように対処したらよいのでしょうか?『家庭で洗濯できない枕』のお手入れ方法を見ていきましょう。
定期的に干して乾燥を
枕の中に湿気がたまると、ダニや雑菌・カビが繁殖して汚れや臭いを引き起こします。洗えない枕はできるだけ『天日干し』をして、乾燥させるようにしましょう。天日干しは、直接日光を当てて湿気を乾かす方法です。
吊るして干せない場合は、枕の両面にしっかりと日が当たるように途中で裏返します。週に1度くらいのペースで、定期的に干すのがおすすめです。
ただし、枕に使われる素材によっては天日干しが向いていないものもあります。熱に弱い素材は日光に当てず『陰干し』して乾燥させましょう。
メッシュの枕干しネットや、セーターなどを干す平干しネットを使うと風が通り、より乾きやすくなります。
布団クリーナーで汚れを取る
布団のお手入れに使う『布団クリーナー』は、枕の汚れ除去にも重宝します。しっかり乾燥させても、枕の中にはダニの死がいやフンなどが残ったままになっていることがあるものです。干した後は布団クリーナーを使って、根こそぎ吸い取っておきましょう。
『UVランプ付き』のものなら汚れを取りながら殺菌も行い、より清潔を保てます。天日干しができない枕にはもちろん、梅雨どきなど外に干せない日が続く季節にも便利です。
もしも誤って洗ってしまったら
水洗いできない枕を間違えて洗ってしまった場合は、以下の手順で対処して様子をみましょう。
- 枕をタオルなどでくるむ
- 手で優しく押して、水分を取り除く
- 風通しのよい日陰で1週間ほど乾燥させる
洗えない枕の素材には、『低反発ウレタン』『発泡ビーズ』『羽毛』などがあります。特に低反発ウレタンは水に弱く、濡れた状態で力をかけると破れたりちぎれたりする可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。
洗えない枕に汚れが付いたときは、キッチンペーパーやティッシュなどを濡らして汚れた部分を叩き、取り除きます。とっさに汚れを落とそうとしたときも、強くもんだり、こすったりはしないようにしましょう。
まとめ
枕には機能、素材、サイズ、形状などにより、さまざまなタイプがあります。寝具の中でもバリエーションが豊富で、自分に適した商品を探すのは容易ではありません。
『家庭で洗えるかどうか』ということも、枕選びの重要な基準の一つです。枕は素材によって、洗えるかどうかに分けられます。洗える素材の中から『使い心地がよさそうなもの』を選んでいくと、スムーズに決められるでしょう。
ただし洗える素材でも、商品によって洗い方は異なります。洗濯表示で確かめたうえで、丁寧にお手入れするのが長持ちさせるポイントです。洗えないタイプであっても、定期的に天日や風に当てて干し、布団クリーナーを使えば汚れを防ぐことが可能です。
適切な洗い方や干し方をマスターして、お気に入りの枕を長く使いましょう。