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不眠症の種類と原因とは?主な対処方法や寝具の選び方を知ろう

不眠症は表れる症状も原因もさまざまです。放置しておくと心身ともに苦痛を生じ、日常生活にトラブルを引き起こすかもしれません。不眠症に対する正しい知識と対処方法を知り早めの改善を目指しましょう。よりよい睡眠をとるために役立つ寝具の選び方も紹介します。

目次

不眠症とは

不眠症

「眠りたいのに眠れない」という状態は、多くの人が経験したことがあるでしょう。眠れない日が続き、日常に影響が出てくるようになると『不眠症』と呼ばれるようになります。

「もしかしたら自分も不眠症かも」と不安を抱えている人のため、不眠症の症状と『厚生労働省』の示す診断基準を解説します。まずは不眠症に関する正しい知識を持っておきましょう。

さまざまな症状をきたす不眠症

不眠症は、その名の通り『十分な睡眠がとれていない状態が慢性的に続くこと』です。原因といわれるものには、ストレスや悩み、病気や使用している薬の影響などさまざまあり、日常生活や仕事において支障をきたす可能性もあります。

慢性的な倦怠感や集中力の低下が続き、気持ちが落ち込みがちになるかもしれません。ほかにも、めまいや頭痛・食欲不振が生じたりするなど、心身ともに不調として現れることもあるでしょう。

「早く不眠症を治さなければならない」という焦りから、さらに眠りにつきにくくなるという負のスパイラルを抱えるケースも見られます。眠れない状態全般を指す『不眠』とは異なるため、専門家による治療も一つの手です。

厚生労働省の示す診断基準

厚生労働省によると、医師の治療が必要だと判断する基準は2点あります。『1カ月以上たっても夜間の不眠の症状が改善されないこと』と『本人が精神的にも肉体的にも不調を自覚しており、日常生活や仕事にトラブルが生じていること』です。

人によって必要な睡眠時間は個人差があり、短時間睡眠でも体調に変化がない人もいます。本人が日常生活を送ることに支障があり、苦痛を感じているかどうかが基準です。


このように「1. 長期間にわたり夜間の不眠が続き」「2. 日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下する」、このふたつが認められたとき不眠症と診断されます。

不眠症 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

不眠症の主なタイプ

不眠症 タイプ

一言で不眠症といっても、さまざまな症状があります。症状が一つだけ現れるケースのほか、複数の症状が一緒に出る場合もあるため自分の症状をよく観察することが大切です。

不眠症の症状を大きく分けると『入眠障害』『中途覚醒』『早期覚醒』『熟眠障害』の四つのパターンが挙げられます。それぞれどのような症状なのか見ていきましょう。

入眠障害

入眠障害は『ベッドに入って入眠するまでに時間がかかる』症状です。不眠症の中でも感じることが多いとされている状態で、多くの人が悩みを抱えています。

寝つきが非常に悪く、眠るまでに30分~1時間以上かかる人もいれば、2時間以上たっても眠りにつけないという人もいるのです。強い不安感や緊張感を抱えているときに症状が出やすいという特徴があります。

中途覚醒

その名の通り『睡眠中に途中で目が覚めてしまう』症状が中途覚醒です。何度も目覚めてしまうケースでは、深く眠った感じが得られません。

比較的高齢者によく見られる症状であり、年齢を経ることで眠りが浅くなり目覚めやすくなるとされています。泌尿器系の不調を抱えている人は、夜間に何度も尿意をもよおして目覚めてしまう『夜間頻尿』の可能性もあるでしょう。

夜中に目覚める回数や時間帯は個人差が大きいため、本人が不便や苦痛を感じているかどうかがポイントです。

早期覚醒

早期覚醒は『本来目覚めたい時間よりも、ずっと早い時間に目が覚めてしまう』症状です。まだ眠っていたいにもかかわらず、起床時間よりも2時間以上早く目覚めてしまうこともあるでしょう。

こちらも、高齢者によく見られる症状であり、年齢を重ねるとともに睡眠のリズムが変化してしまうことが関係しているといわれています。ただし、若い人でも、うつ病の影響で出ることがある症状です。

熟眠障害

『しっかり睡眠時間を確保しているにもかかわらず、朝起きるとまだ眠り足りない感じがする』場合は、熟眠障害が考えられます。夜の眠りが浅いため、日中も眠気に襲われることがしばしばです。

就寝中に上手く呼吸ができない『睡眠時無呼吸症候群』や、睡眠中に足が無意識のうちにぴくぴくと動く『周期性四肢運動障害』を引き起こしていることで、睡眠の質が低下しているケースもあります。睡眠状態の症状のため、家族から指摘されるまで気がつかないことも珍しくありません。

不眠と統計

統計

不眠症は本人の自覚の有無によるところが大きいとはいえ、尺度となるものがなければ自分ではなかなか判断しにくいでしょう。ここでは、不眠に関して過去に取られた調査データを紹介します。

日本人は世界的に見ても睡眠時間が短い傾向があり、平均睡眠時間や満足度を見ても十分に睡眠をとれていないと感じる人が多いことがわかります。平均値を知ることで、自分の睡眠状態を客観的に捉えてみましょう。

平均睡眠時間と満足度

厚生労働省による2015年時点の調査では、1日の平均睡眠時間は『6時間以上7時間未満』という人が最も多く見られました。平均睡眠時間が6時間未満の人は、睡眠の質も低くなる傾向があります。1カ月のうち、週3回以上ある状態を聞いたところ、「日中に眠たくなった」と回答した人が男女ともに半数近くみられました。

2018年の同調査では、「1カ月間、睡眠で十分に休養できているか」という質問に対して、年々不十分だと回答する人の数が増加傾向であることがわかります。時代が進むにつれ、自分の睡眠に対して不満を覚えている人が増えてきていると考えられるでしょう。

1日の平均睡眠時間は、男女とも「6時間以上7時間未満」が最も高く、それぞれ 33.9%、
34.2%である。

平成27年国民健康・栄養調査報告

6時間未満の者では、男女とも「日中、眠気を感じた」が最も高く、それぞれ 44.5%、48.7%である。
※1日の平均睡眠時間が「6時間未満の者」とは、1日の平均睡眠時間が「5時間未満」又は「5時間以上6時間未満」と回答した者である。

平成27年国民健康・栄養調査報告

※年齢調整した、睡眠で休養が十分にとれていない者の割合(総数)は、平成 21 年で 19.4%、平成 24 年で 16.3%、平成26 年で 21.7%、平成 28 年で 20.9%、平成 29 年で 21.9%、平成 30 年で 23.4%であり、平成 21 年からの推移でみると、有意に増加している。

平成30年国民健康・栄養調査結果報告

国際基準をもとにした不眠の統計

不眠症を自己評価するための国際基準に『アテネ不眠尺度(AIS)』があります。2014年に『MSD株式会社』が、この基準をもとにした『不眠に関する意識と実態調査』を実施しました。

調査によると、20~70代の男女のうち、不眠症の疑いがあると判断されたのは約4割にものぼっています。

さらに、不眠症の疑いがあると判断された人のうちの約6割は不眠症の自覚がなく、自覚があっても約7割が受診を受けたことがないと回答したのです。不眠症の人が増加していることはもちろん、多くの人が不眠症を重症だと捉えていないことがわかります。

約4割に「不眠症の疑いがあり」、約2割が「不眠症の疑いが少しある」

不眠に関する意識と実態調査

不眠症の疑いあり層の約6割は、「不眠症の自覚なし」
一方で、不眠症の疑いあり層で、不眠症の自覚があっても、約7割が「受診せず」

不眠に関する意識と実態調査

不眠症の原因とは

不眠症 原因

不眠症を引き起こす原因とされているものは一つではありません。心配事やストレスによる心理的・精神医学的要因と、体のトラブルによる身体的原因、急な環境変化による生理学的要因、服用している薬が引き起こす薬理学的要因が挙げられます。

抱えている悩みに当てはまるからといって必ずしも不眠症とはいえませんが、可能性の有無を探るための参考にはなるでしょう。

心理的・精神医学的要因

心理的要因とは『辛いことや緊張、悩みを抱えているために、なかなか寝付けなくなること』です。精神医学的要因となると、うつ病や不安障害などの精神疾患が考えられます。どちらも心の不調であり、問題を抱えている間は長期間十分に眠れない状態が続くこともあります。

眠れなくなってしまう直前の時期に何があったのかを明確にすることで、解決の糸口が見えることもあるでしょう。早めに医師へ受診し、相談しながらアプローチしていく選択肢も有効です。

新型コロナに対するストレスも

2020年7月の時点でいえば、『新型コロナウイルス』によってもたらされるストレスも大きな原因となっているケースがあるでしょう。感染への恐怖にとどまらず、生活スタイルや経済の先行きが不鮮明なことからくる不安が精神状態を不安定にさせているかもしれません。

人間はストレスにさらされると『交感神経』が活発になるといわれています。血圧を上げて体を活動向きに変えた、いわゆる緊張状態です。気が立った状態のため、なかなかスムーズに寝付けなくなる可能性があります。

さらに外出を極力控え、在宅勤務を取り入れるようになったことで今までとは異なる生活リズムになっている人もいるでしょう。体内時計にズレが発生しているために、今までと同じ時間に眠れなくなることもあります。

身体的要因

身体的原因とは『体に抱えている病気やケガにより眠れなくなる』ことを指します。腰痛やリウマチなどの痛みや睡眠時無呼吸症候群、睡眠中に足に違和感を覚えるムズムズ脚症候群などが、睡眠時に気になる症状として挙げられるでしょう。高血圧や呼吸器疾患、泌尿器系やアレルギーなど、考えられうる病気は多様です。

睡眠を妨害している可能性がある病気・疾病を取り除くことで、同時に不眠症へのアプローチにつながる可能性もあります。病気の治療を医療機関で受けている場合は、かかりつけ医へ眠れないことも相談しましょう。慢性疾患などで現在受診していない人も、持病と眠れない状態を合わせて医師へ話してみてはいかがでしょうか?

生理学的要因

『今までとは異なる睡眠環境へ突然置かれることで眠れなくなる』のが生理学的要因です。夜勤のある仕事や資格試験の為に昼夜逆転の生活を行ったり、海外旅行で時差の大きな国に出かけたりすることが原因としてあげられます。

今までのライフスタイルをガラリと変えなければならない状況では、今までの睡眠サイクルでは対応しきれないことも珍しくありません。少しでも眠りにつきやすい環境を整えるため、照明を暗くしたり枕や寝具を整えたりして心地よく感じる空間をつくりましょう。

薬理学的要因

『服用している薬の副作用によって、うまく睡眠できていない』ケースが薬理学的要因です。抗がん剤や自律神経・中枢神経などの神経に働きかける薬、降圧剤や甲状腺製剤が挙げられるでしょう。

薬だけでなく、お酒やコーヒー、タバコなども薬理学的要因に含まれています。それぞれ、アルコール・カフェイン・ニコチンの『覚醒作用』や『利尿作用』が睡眠妨害になる可能性があるとされているものです。

薬の副作用が考えられる場合、まずは医師へ相談しましょう。個人の判断でやめてしまうと、病気・疾病の方へ影響を与える場合があります。

不眠症と向き合うポイント

不眠症 ポイント

不眠症である自覚を持ったときにまず大切なことは、無理に自分1人で抱え込まないようにすることだといえます。焦って治そうとすればするほど、症状が悪化することがほとんどです。

なるべく早く専門家に相談して適切な治療を受けましょう。薬物治療を行うケースもありますが、容量・用法をきちんと守ればむやみに怖がる必要は全くありません。

悪循環から抜け出す

不眠症の人がよく陥りがちなのが、焦りによる悪循環です。眠れない状態が続くほど「今日こそ眠らなければ」と自分を責めてしまい、ますます眠りにつきにくくなることもあるでしょう。本来なら一時的な症状だった不眠が、慢性的な不眠症になるケースもあるのです。

眠れないのなら、無理に横になる必要はありません。明るすぎない灯りの中で、ゆったりとした気持ちで過ごせる趣味などを楽しみます。自然と眠気が訪れてから、ベッドに入るようにしましょう。メリハリをつけることで、体の入眠のスイッチが入れやすくなります。

専門家に相談する

「自分で快眠を目指すのは難しそう」と判断したら、早めに専門家へ相談しましょう。眠れない状態が続くと深刻化することもあり、心身の不調を引き起こしやすくなります。

不眠症を相談する場合、心のトラブルを自覚している場合は『精神科』か『心療内科』を受診しましょう。精神科は、うつ病や統合失調症などの心の病そのものを治療します。心療内科はもともと内科から生まれた科であり、心の病が原因で体に表れたトラブルを治療するところです。

原因に心当たりがない場合は、『睡眠外来』を構える病院や『睡眠専門の病院』で相談するとよいでしょう。睡眠障害に関する悩み全般を相談できます。

薬の正しい知識をもつ

不眠症を改善するための方法として『睡眠薬』を使った治療をすぐに想像する人も多いでしょう。「一度使うと依存症のように手放せなくなりそう」という怖いイメージを持つ人もいるかもしれません。

現在広く使われている睡眠薬は、専門家の指示に従って使えば問題はありません。医師が現在の状況を見て処方するかを判断するため、心配なことがあれば遠慮なく質問しましょう。

具体的な対処方法

不眠症 改善 対処法

不眠症を改善するために自分でできる工夫がいくつかあります。体内時計を整えたり、スムーズな入眠をするために環境と体調を整えたりといろいろな方法がありますが、特に大切なのは『眠りを意識しすぎないこと』です。

「不眠症を治さなければ」と気を張ってしまうと、ストレスが溜まり逆効果となります。自然な眠りを得られるように少しずつ変えていきましょう。

体内時計を整える

就寝・起床の一定のリズムをつくるため、まずは『体内時計』を調整することを目指します。仕事がある日も休日も同じ時間に睡眠をとることを心がけましょう。体内時計をリセットするために効果的なことが、朝起きてすぐに太陽の光を浴びることです。

人間は、光を目にしてから約14時間以降に始まる『メラトニン』の分泌によって、眠気を感じるようになっているとされています。体内時計が整っていれば、夜の寝つきがよくなる可能性があるでしょう。メラトニンの分泌は、起床時からおよそ14時間後に始まり、その2時間後に最大に達するとされています。

入眠準備を意識

少しでも寝つきがよくなるように、入眠準備を整えることも意識しましょう。夜は少しぬるめのお湯で入浴して『副交感神経』を刺激します。『日本医師会』によると、37~39℃のお湯に10分間以上つかるのが目安です。寝る前の晩酌は、睡眠を浅くしてしまうおそれがあるため避けましょう。

枕やベッドのほか、寝室の照明も要チェックです。明るすぎる光は目を刺激してしまうため、少し薄暗く感じる程度の強さに調節しましょう。さらに、入眠に快適とされる気温と湿度を目指します。

部屋の温度は、冬が約15℃で夏は+10℃程度が適温とされている値です。一方で、布団の中の温度は、体温よりもやや低めになるようにしましょう。湿度に関しては、部屋と寝床内ともに通年50%前後が適湿です。真夏や真冬は、エアコンなどで調節しましょう。

眠りに対するストレスをためない

不眠症を意識しすぎるとストレスが生まれます。「不眠症を治すために何時間睡眠する」などといった目標を立てると、緊張感からますます眠れなくなってしまうこともあるでしょう。

無理やり目をつぶって寝ようとするよりも、寝室の環境を整えたり入浴や軽い運動で体をほぐしたりして『自然な入眠』を目指すのが賢明です。寝る前に、お気に入りの音楽や本で気分を落ち着かせる方法も試してみましょう。

よい睡眠で得られるメリット

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質のよい睡眠は、日中の活動で疲れた体を休息させ、記憶したことを処理して定着させます。健康はもちろん、仕事や学業のパフォーマンスのためにも、よりよい睡眠をとることは望ましいことです。

よい睡眠が具体的にどのようなメリットをもたらすかをチェックしましょう。

体の回復

人間は睡眠の間に体の疲れを回復させ、免疫力を維持しているとされています。睡眠状態になると、日中に体を活動状態にしていた交感神経が休息に入り、リラックスをつかさどる副交感神経が優位になる仕組みです。

副交感神経は、全体の活動状態を下げ、血管や代謝を休めます。次の覚醒状態に向けて体を休め、『自律神経』のバランスを整えるために必要な時間です。自律神経は、風邪やインフルエンザなどに抵抗する力つかさどります。

また、睡眠中は、眠りの状態に合ったホルモンが数種類分泌されている状態です。『成長ホルモン』も睡眠中に分泌され、大人の傷ついた細胞を修復したり、子どもの成長を促したります。

脳の休息・整理

睡眠は、活動に膨大なエネルギーを費やす脳を休息させるために必要不可欠です。睡眠には浅い眠りの『レム睡眠』と深い眠りの『ノンレム睡眠』があります。

深いノンレム睡眠の役割は脳を休息させ、機能低下を防止することです。日中の活動中にインプットした記憶は、入眠後ノンレム睡眠と交互にやってくるレム睡眠のときに処理されます。

一晩の睡眠でレム睡眠とノンレム睡眠が交互に訪れることで、脳の休息と整理が同時に促進するのです。

よい睡眠のためには寝具も大切

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よい睡眠をとるためには、生活習慣だけでなく毎日使う寝具を見直すことも必要です。自分に合わない寝具を使っていると寝つきの悪さや寝苦しさにつながるだけでなく、体に痛みを生じることもあります。

寝具を変えて心地よい睡眠をとれるようになれば、不眠症へのアプローチにもつなげられるでしょう。

寝姿勢の保持について

よい寝具を使うと、正しい寝姿勢を保持しやすくなります。体への負担軽減へつなげられるでしょう。『立っているときと同じように背筋がまっすぐ伸び、自然なS字カーブを保てる』のが、よい寝姿勢といわれる状態です。

枕・掛布団・マットレスやカバーごとに、しっくりくるものは異なります。質感・材質・形状・重量など、チェックする比較点は豊富です。それぞれの寝具が頭や体に合っていれば、無理なく寝姿勢を保ちやすくなるでしょう。

体圧分散について

人の体には体重の負担がかかりやすい部位があります。横になったときに負荷が集中するのは、『肩』『腰』『お尻』の部分です。

長時間同じ部分へ圧がかかると、痛みが出るようになったり睡眠の質が落ちたりする可能性があります。寝具を選ぶ際には、体の重みにより発生する負荷を分散させる『体圧分散』に注目しましょう。

敷布団やマットレスが体をしっかり受け止めると同時に、負荷を全体に分散させます。『寝返り』をスムーズに打てるかどうかも大切です。体圧分散が高い寝具を使えば、正しい寝姿勢を保ちやすいため質のよい睡眠を確保しやすくなるでしょう。

枕の選び方

枕 選び方

自分に合った枕を選べると、より質の高い睡眠が期待できます。不眠症はもちろん、寝起きの頭痛や睡眠時無呼吸症候群などに悩んでいる人は、一度枕を見直してみましょう。

具体的に、どのようなポイントに注目して枕を選べばよいかを解説します。

吸湿性など素材

枕の吸湿性や使用されている素材は、寝心地を大きく左右するため重視すべきポイントです。人間は、眠るときに『汗』をかくことによって、体にたまった熱を放出しています。枕は、頭部の汗を吸収し、湿気をとどめないように逃がす役割が重要です。

枕の素材は自然由来の材料を用いた『天然繊維』と人工的に作られた『化学繊維』のどちらかを使用しています。吸湿性の低い化学繊維に対し、天然繊維は吸湿性・発散性が高く、寝汗を吸収して心地よい肌触りを保てるでしょう。

中材として使われている素材には綿・羽根・ラテックス・ウレタン・そば殻などさまざまな種類があります。中身によって弾力も安定感もまったく違うため、自分に合ったものを選びましょう。

高さ

人によって、寝るときに適切な枕の高さは異なります。目安にしたいのは『仰向きの際に頚椎と背骨の自然なS字カーブがキープできる状態を保てるもの』です。

低すぎる枕は顎があがって頭に血が上り、高すぎる枕は顎が引けて呼吸が妨げられやすくなります。首筋や肩に負担なく、頭の重さを自然と支えられる高さの枕を探しましょう。

サイズ

枕のサイズは、自分の体格によって決めましょう。小さすぎる枕は寝返りを打ったときに頭がはみ出してしまうことがあります。定番サイズは、小柄な人向けの幅50×長さ35cm、普通サイズの幅63×長さ43cm、大柄な人向けの幅70×長さ50cmです。

より大型のものであれば頭から背中まで広く包み込んでサポートする幅63×長さ60cmの欧州サイズや、横向き寝をサポートするL字型・U字型もあります。

おすすめの枕

枕 おすすめ

枕を見直すことにしたはいいものの、いざ自分に合った枕を見つけるとなると迷ってしまう人も多いでしょう。各メーカーから多種多様の枕が販売されているため、自分で一つひとつ確認することは困難です。

ここでは、質のよい睡眠環境へ整えるためにおすすめの枕を三つ紹介します。

PARAMOUNT BED スマートフィット ピロー

有名寝具メーカーの『PARAMOUNT BED』から販売されている枕は、寝返りを打ってもしっかり頭を包み支える仕組みです。頭がはみ出さないような幅80cmの幅広サイズで、頭をスムーズに動かせるフラット形状を採用しています。

『シェルダーサポート』という凸形の形状で、首のすき間をしっかりうめてくれるでしょう。仰向き時に頸椎や上部胸椎を支え、体圧を分散してくれます。

東京西川 Aller-Wall まくら

『東京西川』のAller-Wallは、防ダニ・防花粉・アレル物質の軽減が期待できる独自の加工を施しています。枕は中央が凹み、肩部分はアーチ状のデザインで頭にぴったりフィットする設計です。

洗濯ネットに入れれば家庭でも簡単に洗濯できるため、常に清潔感を保てます。フィット感抜群で、清潔に使える枕です。

BRAIN SLEEP ブレインスリープピロー

「枕に熱がこもって寝付きにくい」という悩みを持つ人に、おすすめの枕です。非常に通気性の高い素材が使われており、寝返りを打つごとに空気と共に枕から熱が押し出されます。枕カバーにも温度が上がり過ぎない加工を施しているため、快適な温度キープが可能です。

睡眠の質は眠り始めに90分ほどで訪れるノンレム睡眠の質をいかに高めるかに左右されるともいわれています。入眠後約3時間までは、深い眠りの状態が続くためです。

頭を冷やすことは脳と体温を入眠に適した状態に調節するメリットがあり、深い眠りをサポートします。

マットレスの選び方

マットレス 選び方

マットレス選びも、眠りに導くための環境づくりとして重要です。自分に合ったマットレスで正しい寝姿勢を保てると、睡眠中に体にかかる負担が導入前よりも軽減される可能性があります。

睡眠中はどうしても寝汗をかくため、使用されている素材や機能性にも注目しましょう。汗がたまることによる蒸れや冷えは、快適な睡眠の妨げになりうる存在です。マットレスを選ぶ際に、どのような点に注目すればよいかを紹介します。

素材と機能性

マットレスを選ぶ際にも、素材と機能性に注目しましょう。『天然素材』と『化学素材』の2タイプがあるため、商品に記載されている材質は要チェックです。

特に、マットレスは『睡眠中にかく寝汗を吸収し発散できるもの』が寝心地のよさへつながります。反対に、吸湿・放湿性が低いマットレスは、発汗時の汗がうまく処理できず『冷え』や『蒸れ』を生み出す要因です。

マットレスの表面はクッション性と吸湿・発散性のある素材を使用し、内部は通気性や反発力のある構造となっているものを選びましょう。

厚さ

マットレスは全体重を支えるため、ある程度の厚みが必要です。体格や体重にもよりますが、薄いマットレスは横になったときに『底つき感』があり、寝心地の悪さを感じることがあります。

畳やフローリングで使うなら高さ約10cm、ベッドフレームを使うなら高さ約15~30cmの厚みを目安にするとよいでしょう。ただし、持ち運びのしやすさや収納のしやすさなど、自室の寝室での使いやすさも考慮することをおすすめします。

硬さ

正しい寝姿勢を保つためには、ちょうどよい硬さのマットレスを選びましょう。柔らかいマットレスは一見体に優しそうに思えるかもしれません。

腰の部分が落ち込んで背骨が曲がりやすくなります。体が沈み込んで寝返りしにくいところも難点です。体の一部が圧迫されると、血行不良や筋肉に負担が生じます。

逆に、硬すぎるマットレスでも体を圧迫し、血行を悪くする可能性があるでしょう。背骨や腰にも負担がかかり、質のよい睡眠がとりにくくなります。

自分の体にとって硬すぎず、柔らかすぎないちょうどよいマットレスを選ぶことが大切です。

おすすめのマットレス

マットレス おすすめ

いざマットレスを選ぼうとしても、数ある商品の中から自分に合うものを選ぼうと思うと決めきれない人が多いでしょう。特に、マットレスは高価なものが多く、何年か使うことを想定して購入することが一般的なものです。

失敗しないためにも、慎重に選ぶ必要があるでしょう。ここでは、寝心地を重視した機能性の高いマットレスを三つ紹介します。

エアウィーヴ ベッドマットレス S02

有名寝具ブランドの『エアウィーヴ』が取り扱っているベッドマットレスの中でもスタンダードな商品です。取り扱いやすさが特徴で、取り外せるカバーはもちろん、中の『エアファイバー』の洗濯も可能です。

通常本体を洗うことのできないマットレスの清潔感を保てます。中のエアファイバーは3分割されており、洗濯した際に配置を換えて入れればマットレスの一部分だけがヘタるスピードをやわらげられるでしょう。

日本ベッド シルキーポケットマットレス

通気性・放湿性が高く、快適な寝心地が楽しめるマットレスです。サイドには『ベンチレーター』と呼ばれる小さな通気穴がついており、マットレスの内部から湿気を逃がします。

ポケットコイルマットレスで、体の重さを一つひとつの点で支えて包み込むようにフィットするところが特徴です。スプリング線径を変え、ハード・レギュラー・ソフトの3つの柔らかさで展開しています。

シモンズ ビューティレストプレミアム ゴールデンバリュー

『シモンズ』のベストセラーであり、内部のポケットコイルが体をしっかり支えてちょうどいい反発力を生み出す商品です。表面に使われている抗菌ポリエステル綿は柔らかな感触で、寝心地のよさを実感できるでしょう。

通気性もよいため、寝ている間も熱がこもりにくく快適な睡眠へつながります。

正しい寝具の使い方を知ろう

質のよい睡眠をとるために適切な寝具をそろえることも必要ですが、大切なのは『正しい寝具の使い方』を知ることです。

寝具選びとあわせて正しい枕・マットレスの使い方を知り、快適な眠りの空間をつくりましょう。

枕の正しい使い方

枕の正しい使い方の基本は、仰向きになったときに『首とマットレスの間の空間を埋めるようにフィットさせる』ことです。

人間の頭はとても重く、枕でしっかり支えないと首や肩に負担がかかったり、血流が悪くなったりする可能性があります。頭を枕に乗せたとき『頚椎のS字カーブを自然に保てる状態』が理想です。

頭頂部から肩へ、やや下向きになる角度がよいでしょう。枕を置いた場合は、仰向きに寝た状態で、少しだけ顎を引いたくらいで十分です。

マットレスはシーツやパッドを使う

マットレスはどうしても寝汗がたまり、湿度が高くなりがちです。マットレスの上に『シーツ』や『パッド』を敷くことで、マットレスを汚れや湿気から守ってくれるでしょう。

マットレスが湿ったままだと、乾いた状態よりもカビやダニが発生しやすくなります。不衛生になるうえ、マットレスが傷んで寿命が縮んでしまうかもしれません。

マットレスは、自宅で気軽に洗えるタイプのものが少なくお手入れが難しく感じる人も多いでしょう。シーツやパッドをつければ、取り外して家庭で簡単に洗えるため常に清潔な寝具で眠れます。シーツやパッドを使うことで管理しやすくなるメリットがあるのです。

夏には『冷感生地』、冬には『起毛生地』など、季節に合わせて調整すればより寝心地よく過ごせるでしょう。

まとめ

不眠症は体にさまざまなトラブルを招きます。治そうと焦る気持ちがより不眠を招くことも多いため、まずは正しい知識と対処法を身に付けることが先決です。よい睡眠をとれるようになれば、心身ともに大きなメリットをもたらします。

より質のよい睡眠を目指すなら、自分に合った枕やマットレスなどをそろえることもおすすめです。眠れない環境を少しずつ変えていき、熟睡できる毎日を目指しましょう。

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