羽毛枕選びには知識が必要。ダウンの割合、ダウンパワー、洗浄度合い?正しく知って納得の一品を手に入れよう
高級ホテルに行くとよく使用されている羽毛枕ですが、自宅でもフカフカな感触を楽しみたい人もいるのではないでしょうか。羽毛枕を購入する場合は、ある程度の知識がないと商品を選びにくいでしょう。羽毛枕の基礎知識と、おすすめの商品を紹介します。
羽毛枕の基礎知識
何気なく使われている羽毛枕ですが、これが何の羽毛なのか、羽根枕とどう違うのか知っていますか。羽毛枕の基礎知識と、羽根枕との違いを紹介します。
ダウンにもグースとダックの2種類がある
枕で使われる羽毛は、グース(ガチョウ)とダック(アヒル)の2種類があります。羽毛のふくらみを表すダウンパワー(数値が大きいほどふくらみやすい)は、一律の傾向はなく、個々の製品によると考えてよいでしょう。
品質としては、グースの方が独特の臭いが出にくく、ボリュームが大きいためふんわりとした感触を得やすい特徴があります。価格はダックの方が安い傾向にあり、挑戦しやすいのが特徴です。
ダックもグースも、ひな鳥より厳しい寒さを乗り越えてきた親鳥の方が羽毛にボリュームがあり、保温性が高くなります。「マザーグース」と呼ばれるものが、飼育期間の長い鳥の羽毛です。
日本ではなじみがないですが、「アイダーダック」と呼ばれる極寒の地域に生息する親鳥の羽毛を使った高級枕もあります。
羽毛枕と羽根枕の違いとは?
羽毛枕には、羽毛=ダウンと羽根=フェザーの2種類の羽が含まれています。ダウンは芯のない綿毛状のもので、フェザーは芯のある「鳥の羽」らしい形のものです。
ダウンの比率が50%以上の枕を「羽毛枕」、フェザーが50%以上の枕を「羽根枕」と呼びます。
ダウンは水鳥独特の羽で、吸湿性や保温力に優れており、空気をよく含んで暖かいのが特徴です。大変柔らかいため、ふわりとした感触が好みの人に向いていますが、沈み込みが深すぎると感じることもありそうです。
一方、フェザーは芯があるため、ある程度型崩れしにくいのが特徴です。ただし、所々硬い感触が気になることもあります。
羽毛枕のメリットとデメリット
羽毛が枕に使われるのは、睡眠をサポートするのに適した性質があるからです。逆に、注意したい点もあります。羽毛枕のメリットやデメリットを見ていきましょう。
ふんわりと包み込まれるような寝心地
羽毛枕を使うメリットといえば、ふんわりとした使い心地です。頭や首になじみやすく、反発力が弱いため優しい感触を得られるでしょう。
頭を優しく包み込んでくれる寝心地を好む人に向いている枕です。
通気性が高く蒸れにくい
グースやダックなどの水鳥は、寒冷地や湖などの環境で体を守り、体温を保つ必要があります。そのため水鳥の羽毛は保温力や吸湿性、速乾性に優れているのです。
枕の中に湿気がこもりにくく、頭まわりがじっとり蒸れることが少ないのが特徴です。寝汗をかきやすい夏場も、暖かいのにべたつかない感触で重宝します。
湿気が抜けやすいので、日陰干しや風が通りやすい場所に置くことで、手軽にお手入れができます。
臭いが気になることがある
羽毛枕は、品質によっては臭いが気になるものがあります。生物由来の素材であるため、独特の臭いや油脂などはゼロではありません。
臭いが強くなってしまう原因には、羽毛の洗浄度合が低いことが挙げられます。洗浄度合が低ければ、羽毛についた汚れやゴミ、雑菌や動物性油脂などが細かく落としきれず、嫌な臭いの元になってしまうのです。特に低価格の商品は洗浄度が十分でない可能性があるため、店頭で臭いが気にならないかチェックすることをおすすめします。
また、グースとダックの羽毛を比べると、ダックの方が臭いやすい特徴があります。グースは草食なのに対し、ダックは雑食性でもともと臭いが強いためです。
人によっては柔らかすぎると感じることも
羽毛枕は柔らかく反発力の弱いので、硬めの枕を好む人には適していません。特に羽毛の割合が高いと、頭を乗せたときに低すぎると感じる人もいるでしょう。
また、肩こりや睡眠の悩みがある人や、寝る姿勢を改善したい人にもあまり向いていません。羽毛枕は柔らかい感触が魅力ですが、首や肩に合わせた形状や、高反発素材を用いた枕のような機能性はないためです。
羽毛枕でおすすめのサイズ
羽毛枕にはさまざまなサイズがあります。一人で寝る場合はシングルサイズでもよいのですが、それ以外の大きさも試してみてはいかがでしょうか。羽毛枕のおすすめのサイズを紹介します。
ホテル気分でゆったり眠れるセミダブル
一般的に1人向けの枕といえば、43cm×63cmのシングルサイズです。
もちろん1人で寝るのに不足はありませんが、ホテルなどではセミダブルがよく使用されています。寝返りを打っても枕から頭が落ちることなく、ホテルのようなラグジュアリーな感覚で眠りたいなら、セミダブルサイズの枕をおすすめします。
羽毛枕の一番の魅力である柔らかさを存分に楽しめるサイズ感です。
より大きいサイズなら使い方も広がる
メーカーによっては、セミダブルよりも大きな独自のサイズを用意している場合があります。
クイーンサイズなどの大きめのベッドに合わせたり、就寝時以外にももたれかかって使ったりする場合は、ダブル以上の大きい枕を検討してもよいでしょう。
十分な長さがあれば、抱き枕のようにしても使えます。50×90cm程度のキングサイズ枕は、キングサイズベッドに2個並べられるので、2人で寝る場合もゆったりと睡眠できるでしょう。パートナーと一つの枕で寝たいという人にも向いています。
高品質な枕を選ぶためのポイント
品質のよい羽毛枕を選択するためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。羽毛枕の見分け方やポイントを見ていきましょう。
ダウンの割合は8割以上が理想
芯のあるフェザーでなく、ふわりとしたダウンが多ければ多いほどよいイメージがあるかもしれませんが、実はダウンが多すぎると使いにくいことがあります。
枕には頭を包み込むような柔らかさも必要ですが、しっかりと支えるサポート性も重要です。ほどよい硬さを備えるためにも、羽毛枕のダウンの割合は8割ほどが理想的といえるでしょう。
反対に、フェザーの比率が多いと、羽根の芯のチクチクした感覚が残ってしまいます。商品を探すときは「ダウンが多め」を意識することをおすすめします。
寝心地の指標となるダウンパワーとは
ダウンパワー(dp)とは、ダウンの質を表す指標の一つです。数値が高いほど空気を多く含むので、より大きくふっくらと膨らみ、軽さや暖かさも増します。
日本羽毛製品協同組合は羽毛の品質をdpにより「ニューゴールド(300dp)」、「エクセルゴールド(350dp)」、「ロイヤルゴールド(400dp)」、「プレミアムゴールド(440dp)」の4段階レベルに分けています。
掛布団として使用するのであれば、軽さや暖かさが重視されますが、枕として使うためそこまで高い数値は求めなくてもよいでしょう。
ニューゴールドラベルがある製品や、300dp以上の枕であれば快適な寝心地が期待できます。
臭わない枕を見つけるには洗浄度に注目
ネット通販で枕を購入する際は、洗浄度に注目しましょう。日本羽毛製品協同組合は品質基準として500mm 以上の洗浄度を定めています。これを下回っていなければ、臭いは気にならないと考えてよいでしょう。
洗浄度が低すぎると、臭いが強い可能性があります。洗浄度の記載がなければ、口コミを参考にするのも一つの手段です。
店頭で買い物する場合は、可能であれば展示品ではなく、箱に入っていた在庫品を確認できると、より実際の使用感に近い状態をチェックできます。店頭に置いてある商品は、時間とともにある程度臭いが飛んでいる可能性があるためです。
側生地はポリエステルより綿がベター
羽毛は保温性の高い素材であるため、羽毛を包む側生地は吸湿性に優れた綿素材を選択することをおすすめします。
ポリエステル生地の商品もありますが、綿と比べて通気性が低く、蒸れやすくなってしまいます。仮に、ポリエステルの側生地に綿素材のカバーをつけても、蒸れやすさは変わりません。
お手頃価格のおすすめ羽毛枕3選
羽毛枕には高級品のものから、価格の安いものまで幅広く販売されています。品質がよく手頃な価格で購入できる、おすすめの商品を3つ紹介します。
ニトリ ホテルスタイル枕 プレミアム
ニトリの「ホテルスタイル枕 プレミアム」は、マイクロファイバーわたの調整シート2枚、低反発のウレタンシート1枚によって高さや寝心地を調整できる羽毛枕です。
消臭・抗菌加工された羽毛を使用し、気になる臭いを元から発生しにくくし、汗や体臭にも消臭効果を発揮します。
ウレタンシート以外はネットを使用して洗濯機で洗えます。約5,000円と手頃ながら、メンテナンスや調整がしやすいコストパフォーマンスに優れた商品です。
エムール ホテル仕様 羽毛枕 リッチダウンピロー
50×70cmの大きめサイズで、ゆったりと寝られるラグジュアリーな枕です。側生地には綿100%生地を使用し、吸湿性に優れた商品です。ダウンとフェザー半々の割合で、ふかふかの感触ながらも使いやすいのが特徴です。
ボリュームがありますが中綿の重量は約0.7kgと軽く、見た目より扱いやすくなっています。
オーソドックスな白無地で、どんな寝室にも品よくコーディネートできるのも魅力です。
bedkids ホワイトダウン90% ホテル仕様 羽毛枕
ダウンの比率が90%と高く、頭を優しく包み込んでくれる寝心地です。側生地は高密度生地である超長綿サテンで、ダニの侵入防ぐつくりになっています。
サイズは50×70cmの大判であり、高め・低めを選ぶことができます。枕カバーも選択肢が豊富で、ダニが通れない高密度タイプや、42色から選択できるタイプ、ワッフル生地のものなどがあります。
ダウンが多く深く沈み込むので、柔らかめが好みの人に向いています。
ラグジュアリーな寝心地を楽しむ羽毛枕3選
続いて、約2万円~のラグジュアリーな寝心地が楽しめる、おすすめの羽毛枕を3つ紹介します。
寝具専門店ふじはし ホテル仕様羽毛枕
ホワイトグースダウンを90%充填した、高級羽毛枕です。
通気性がよく、綿100%の側生地を使用しているため蒸れにくい枕です。50cm×70cmのゆったりとしたサイズ感。
重量は700gとダイエットバージョンの500gがあり、高めが好みであれば700g、低めが好みであれば500gがおすすめです。
普段のお手入れは陰干しやぬるま湯での手押し洗いで十分。専門店のクリーニングも利用可能です。
西川プレミアム ダウンピロー
「西川プレミアムダウンピロー」、特にダウンの割合が高く、ふかふかな寝心地を堪能できる枕です。
表面部にホワイトグースのダウン93%とフェザー7%、中心部にはダックのダウン85%とフェザー15%で構成されています。こだわりの配分で、柔らかさと快適さを両立する寝心地を生み出します。
側生地は100%綿で作られ、吸湿性抜群です。抗菌防臭加工も施されており、臭いも軽減されています。
ホテルライクインテリア 700FPヨーロピアンホワイトグースダウンピロー
ハンガリー産のマザーグースの羽毛をふんだんに使用した枕で、同じ重さあたりのふくらみが特に大きい700フィルパワー以上のダウンのみを厳選されています。とても軽く、保温性に優れた高級品です。
さらに、国内の基準である洗浄度500㎜の倍にあたる洗浄度1000mmで、ダウンをたっぷり使用していながらも、臭いが気にならないのがポイントです。
側生地は抗菌防臭・防ダニ加工が施されたサテン生地で、風合いの良さと清潔感も両立しています。
羽毛枕の正しいお手入れ方法
お気に入りの羽毛枕を長く使用するためには、メンテナンスが欠かせません。しかし、通常の枕と違い、羽毛枕は繊細です。羽毛枕の正しいメンテナンス方法を紹介します。
基本的なお手入れは陰干し
羽毛枕は、日干しをするとボリュームが減る可能性があるため、基本的に外で干す際は陰干しを行います。ダニ対策や臭いを飛ばす効果があり、干した後にもむと内部の空気を排出し、新しい空気を取り込みます。
陰干しの回数とともに臭いが軽減されるため、より使いやすくなっていきます。
家で洗うなら枕を傷めない洗い方で慎重に
羽毛枕を洗う場合は、必ず洗濯表示を確認し、水洗い可能であるもの以外は洗濯を避けましょう。水洗いが可能と記載されていても、家庭洗濯機での丸洗いは難しいので、部分洗いなどにとどめておくのが無難です。
どうしても汚れが気になる場合は、ぬるま湯で手押し洗いをし、しっかりと水切りをしましょう。羽毛枕は水を含むと重くなり若干扱いにくいですが、しっかりと乾かさないと、カビなどの原因になるため丁寧に水分を取りましょう。
枕を完全に乾かすには4~5日ほどかかるといわれています。湿度の低い、晴れの日が続くタイミングを狙って洗い、陰干しすることをおすすめします。
洗濯機やコインランドリーは避けて
羽毛枕は水を含むとかなり重くなるため、基本的には洗濯機の使用はおすすめできません。特に小さめの洗濯機だと、異常な振動や脱水の停止といったトラブルの不安があります。
コインランドリーの洗濯機や乾燥機は家庭用のものより大型な分、機械が損傷する恐れは低くなりますが、枕を傷めてしまう可能性があります。
洗濯機で洗える表示がないものを無理に洗わないのはもちろん、使用可能であっても洗濯機の容量に余裕があるか慎重に判断しましょう。
クリーニングはドライより水洗いがおすすめ
枕に付着する汚れといえば、汗や唾液など水溶性のものがほとんどです。よって、ドライクリーニングよりも、水洗いをおすすめします。水洗いは、ダニの駆除にも役立ちます。
クリーニング店によっては、枕はドライクリーニングに分類しているところもあるため、クリーニングを依頼するときにお店に確認をしてみましょう。
まとめ
羽毛枕で使用される羽毛には、ダックとグースの2種類があります。グースの方が羽毛枕としての品質が高い傾向にあり、ダックはどちらかというと安価で購入しやすいのがメリットです。
柔らかさを求めるならダウンが多いものを、サポート性も重視するならフェザーの割合もチェックすることがおすすめします。羽毛枕は通気性が高く感触が柔らかい一方、沈み込みの深さや臭いが気になることもあるため、可能であれば店頭で感触を確かめてみましょう。
好みの羽毛枕を見つけて、ラグジュアリーな寝心地を楽しんでください。