眠れないときに試したい飲み物は?食べ物や安眠のポイントも紹介
眠れないときには、体をリラックスさせスムーズな入眠を促進する飲み物を飲んでみましょう。飲み物だけでなく食べ物にも、快眠のための成分を含んだものがあるため注目です。よりよい睡眠のための工夫や、避けたい飲み物・食べ物、生活習慣などを紹介します。
夜眠れない主な原因とは
夜眠れない原因にはさまざまなものがあります。よくあげられるものに不規則な生活習慣とストレスの大きさがありますが、使っている寝具が知らないうちに睡眠トラブルを引き起こしていることもあるようです。
寝つきが悪いことに悩んでいる人は、まず自分の睡眠を邪魔している原因が何かを知ることから始めるとよいでしょう。夜なかなか眠れない大きな原因を三つ解説します。
生活リズムの崩れ
人間の体の体内時計は約24時間の周期で生活リズムを刻んでおり、朝太陽の光を浴びることで、日中に活動する交感神経が働き、脳を覚醒させるセロトニンが分泌されるといわれています。さらに、14~16時間後に、睡眠ホルモンであるメラトニンが分泌される準備が整うとされています。
起きる時間が不規則だったり、平日の疲れを解消しようと休日に寝だめしたりしていると、体内時計が不規則になってしまう可能性があります。
ストレス過多の生活
ストレスが多い生活を長期にわたり続けることは、不眠症や睡眠障害など、眠りに関するトラブルを引き起こす原因となる可能性が高いです。
ストレスはアドレナリンの分泌を促し、さらに睡眠に必要なセロトニン・メラトニンの分泌を邪魔するコルチゾールというホルモンの分泌も促進するといわれています。セロトニンは気持ちをリラックスさせる物質とされ、セロトニンは睡眠ホルモンのメラトニンの元とされています。これらの分泌量が少なくなれば、睡眠による満足感の低下につながるかもしれません。
さらに、ストレスが溜まっている状態は、脳を回復させる深い睡眠であるノンレム睡眠の時間を短くしてしまうため、疲労が解消しにくくなるとされています。
合わない寝具
自分に合わない寝具も、夜眠りにくくなる要因となるようです。重く体にまとわりつくようなかけ布団は寝返りを邪魔し、体重を支えきれない敷き布団は寝姿勢を保てず心地よい睡眠をとれない可能性があります。
かけ布団は軽く、寝汗を吸収・発散する機能の高いものを選びましょう。体の冷えは不眠につながるため、保温性も大切とされています。敷き布団は、背骨の緩やかなS字カーブを自然にキープし、体圧を分散して支えられるものを選ぶのがよいかもしれません。
眠れないときに飲みたい飲み物
なかなか眠れないときにすぐできる対策として、飲み物で寝つきをよくするという方法もあるようです。心身を安らげるハーブティーや、体を内側から温める白湯などの飲み物でスムーズな入眠を目指せるといわれています。
しかし、中には豆乳やホットミルクなど、昔から定番とされている飲み物でも、あまり効果が期待できないというケースもあるようです。眠れないときにおすすめの飲み物に対する正しい知識をおさえておきたいものです。
ハーブティー
ハーブティーを飲むことで、心を落ち着かせるリラックス効果を期待できるといわれます。
カモミールティーは、ほのかに甘く爽やかな香りがするため、普段あまりハーブティーを飲まないという人も親しみやすいでしょう。ストレスの緩和や胃の調子を整える効果も期待できるようです。
パッションフラワーティーは、たかぶった神経を鎮め、筋肉の緊張を解く働きを持っているとされ、安眠したいときにぴったりといえるでしょう。
ただし、ハーブティーの種類によっては、特定の薬との飲み合わせが悪いため、注意したほうがよいかもしれません。妊娠中の女性も避けたほうが無難なため、購入の際には成分表と注意書きをよく読むことが大切でしょう。
白湯など温かい飲み物
寝る前に体を温めることで、スムーズに入眠できるようになるといわれています。睡眠中は自然と体温が下がるとされているため、体の中から温める飲み物を飲んでおくとよいでしょう。ぬるめの白湯や生姜湯、葛湯などが効果的とされています。
ただし、体を温めようと熱すぎる飲み物を飲んでしまうと、体の活動を活発にする交感神経を刺激してしまうようです。横になる前の飲み物は、60~70度に調整するのがよいかもしれません。
豆乳やホットミルクは難点もある
寝る前に飲むドリンクとして豆乳やホットミルクは定番ですが、飲んですぐに睡眠を促すほどの即効性はないようです。
豆乳や牛乳には、睡眠ホルモンであるメラトニンを作るために必要なトリプトファンという成分が含まれています。そのため、摂取することで確かに睡眠をサポートする効果は期待できますが、トリプトファンがセロトニンに変化するまでには半日程度かかるそうです。
さらに、日本人は乳糖を分解するための力が弱い傾向があり、牛乳でお腹の調子を崩す可能性もあります。加えて、牛乳には糖分があるため、寝る前には歯を磨かなければならず、歯磨きしている間に眠気が飛んでしまう、ということもあるでしょう。
寝る前にNGな飲み物
就寝前に飲むと睡眠を妨げてしまう飲み物もあるため、注意が必要なようです。寝る前にカフェインを避けたほうがよいということは知られていますが、寝つきをよくすると考えられがちなアルコールの摂取も控えたほうがよいでしょう。なぜアルコールやカフェインを控えたほうがよいのか、その理由とともに解説します。
アルコール類
夜は寝つきをよくするためにと寝酒をする人もいるようですが、アルコール類の摂取は眠りを浅くするため逆効果のようです。
不安をおさえリラックスすることにより短時間で入眠できますが、夜中にささいなことで目が覚めたり、利尿作用によりトイレに行きたくなり起きてしまったりすることも多いといわれます。
夜中に何度も目を覚ましていると睡眠不足になり、体の疲れが抜けきらないまま睡眠を終えてしまいます。さらに、お酒で無理に眠気を誘って就寝する習慣をつけてしまうと、お酒の量が増えて依存症を招くこともあるとされています。
カフェイン含有のコーヒーやお茶
コーヒーやお茶など、カフェインを含む飲み物が眠気を覚ましてしまうことは広く知られています。スムーズに眠るためには、夜寝る前に摂取するのは避けたほうがよいかもしれません。
さらにカフェインには利尿作用もあり、夜中にトイレに行きたくて目が覚める可能性が高くなります。睡眠が途中で妨げられると、続けて寝流のが難しくなったり、深い睡眠がとりづらくなったりするようです。眠る前には、なるべくカフェインの入っていない飲み物を選んだほうがよいかもしれません。
快眠のために摂りたい食べ物とは
快眠に役立つのは飲み物ばかりではないようです。良質な睡眠をとるために役立つ食べ物をあらかじめ知っておけば、日々の食事に取り入れることができるでしょう。寝る前に飲み物を飲むことが難しいという人は、毎日の食事の改善による対策をしてみるのもよいかもしれません。
眠りの質を高めるためにおすすめとされる食べ物を、理由と合わせて紹介します。
豆類などからタンパク質を
豆類はタンパク質を豊富に含んでおり、体内で分解されトリプトファンという物質になるといわれています。トリプトファンは脳神経を落ち着かせるセロトニンの生成に必要とされており、スムーズな入眠のサポートにつながるようです。
大豆はいろいろな食品の原料であるため、気軽に摂取できるでしょう。そのほか、レンズ豆にはトリプトファンに加えて、睡眠障害の予防になる葉酸が含まれ、質のよい睡眠をとるために役立つといわれています。
プレバイオティクスで腸内環境を整える
プレバイオティクスとは、腸に住んでいる善玉菌の栄養となり、活動を促進する成分を指します。腸はセロトニンの分泌にも大きく関わっているとされており、腸内環境を整えることで睡眠の質が向上するようです。
玉ねぎやアーティチョーク、チコリ、一部の全粒穀物などがプレバイオティクスを含んでいるとされ、とくに食物繊維を多く含む食品に豊富に含まれている傾向があるようです。
寝る前に避けるべき行動
飲み物や食事を変えてもなかなか眠りにつけないという人は、眠る前の自分の行動を思い返してみましょう。眠る前の悪い習慣が寝つきを悪くしているケースもよくあるようですが、心当たりのある人も多いのではないでしょうか。寝る前に避けたほうがいい行動として代表的なものを紹介します。
スマホやパソコンをいじる
眠る前にスマホやパソコンを操作している人は、眠りが浅くなる傾向があるようです。スマホやパソコンの画面からはブルーライトが発生しており、人の交感神経を刺激して脳を活動モードにしてしまうといわれています。目が冴えて眠れなくなってしまうかもしれません。
さらに、寝る前にSNSやネットサーフィンによって情報をインプットすることで、脳が興奮状態に陥るといわれています。気分が高まってしまい、ますます眠りから遠ざかってしまう可能性が高いでしょう。
激しい運動やアップテンポの音楽
夜眠る前に激しい運動をすると、寝つきが悪くなるようです。しっかり体を動かせば疲労感により眠たくなると考える人もいますが、心拍数が上昇するとアドレナリンが分泌されて興奮状態になってしまうといわれています。
お気に入りの音楽を聴いてリラックスし眠りにつくのはよい方法とされていますが、アップテンポのノリのいい音楽は鼓動を高めてしまうため、こちらも寝つきを悪くする可能性があります。音楽はオルゴールやクラシックなどの落ち着いた静かなものをチョイスするのがよいかもしれません。
就寝環境も整えよう
よりスムーズな眠りを目指すため、就寝環境を整えることも大切とされます。自分の寝室の状態や使っている寝具が、知らないうちに安眠妨害につながっていることもありえます。なかなか寝付けず悩んでいる人は、自分が普段どのような環境で寝ているかを振り返ってみましょう。
快眠するために必要な寝室環境と、寝具の選び方について紹介します。
寝るのに最適な温度や湿度とは
人が寝るときに適した温度は、夏の時期なら26~28℃、冬の時期は16~21℃です。寝室の温度を適温に調節することでスムーズに眠りにつきやすくなるようです。
温度と同じくらい、湿度も睡眠のためには重要とされています。夏は湿度が高くなりやすく、寝汗で寝具が冷えたり寝返りが増えたりするようです。逆に冬は空気が乾燥しやすく、口やのどの渇きから寝苦しさにつながったりすることもあるでしょう。1年を通して湿度50%程度をキープすると快適とされています。
寝具の選び方
寝具を選ぶときには、正しい寝姿勢を保てるか、寝返りしやすいかを判断基準にするとよいようです。枕は首のS字カーブを無理なく支え、肩や首に余分な力が入らないものが理想とされます。ベッドマットと首のすき間をぴったり埋め、高すぎず低すぎない枕を選ぶとよいようです。
ベッドマットや敷き布団は、柔らかすぎると背骨がくの字に曲がって腰を痛めてしまう可能性があります。起きているときと同じく、まっすぐな姿勢を保ちつつ、腰やお尻に負担が集中しない硬さのものを選ぶとよいようです。
掛け布団は、体を寒さから守るために保温性のあるものが快適とされます。寝汗を吸収・発散するため吸湿性・放湿性の高さにも注目しましょう。ただし、重いものは寝返りの妨げとなるため、できるだけ軽く体にフィットするものがおすすめといわれています。
まとめ
眠れないときに効果的な飲み物を知っておくと、思いついたときに気軽に摂取できるでしょう。なかなか寝付けずに悩んでいる人は試してみるのもよいかもしれません。
しかしながら、眠りを妨げるような飲食や生活習慣、就寝環境があると台無しになってしまうかもしれません。改善と工夫により、より質の高い睡眠を目指すのがよいでしょう。