布団の正しい選び方。敷布団から枕まで寝具一式の選び方を徹底解説
睡眠は、快適な毎日を送るためにとても大切なものといわれています。心身を健やかに保つためにも、よい眠りを取ることを心がけたいものです。布団も、睡眠の質に大きく影響すると考えられています。正しい選び方について、徹底解説します。
布団とベッドはどっちがいい?
1日の生活のうち、睡眠にあてている時間は非常に長いでしょう。その日の活力を得て、爽やかなスタートを切るためにも、質の高い眠りと快適な目覚めを手に入れたいと願う人は多いのではないでしょうか。
日常生活に不可欠な睡眠をとるときに選んでいる寝具は、大きく二つに分かれます。一つは布団、もう一つがベッドです。
両者を比べたとき、それぞれに利点もあれば、補いたい部分もあるでしょう。布団とベッドのメリット・デメリットについて考察します。
布団のメリットとデメリット
まず思い浮かぶ布団のメリットは、畳めることでしょう。睡眠時以外は押し入れなどに収納することで、部屋を広く使うことが可能です。収納できる利点は、それだけではありません。布団をしまうことで、生活におけるオン・オフの切り替えが可能になります。
ケアがしやすいことも、嬉しい点です。天日干しをすれば快適さを手に入れられ、タイプによっては洗濯機で洗えます。
ただし、ずっと敷きっぱなしにしてしまうと、カビの発生などを招く可能性があります。床や畳に近いことが、カビを寄せつける大きな要因になるようです。
ホコリやチリは、床から30cm以下に集まる傾向が強くあります。そして、これらのゴミが湿気を帯びたときに、カビ菌や細菌のエサとなるのです。
また、低い場所に溜まるゴミやチリを、睡眠中に吸い込んでしまう危険性も高まるでしょう。アレルギーを持つ人は、十分な注意と配慮が必要といわれています。
ベッドのメリットとデメリット
高さがあるベッドは、ホコリやチリなどから離れた場所で眠ることを可能にします。ベッドのフレームによって高さが生まれるため、通気性も確保しやすい面があります。そのため、カビなどが発生しにくいといえるのです。
起きたり、寝る姿勢に入ったりするときも、ベッドだと楽に感じられるでしょう。高さがあるため、重心の移動が小さくてすむからです。ベッドの多くは、厚く柔らかなマットレスを使用しています。それゆえ、睡眠時における体への負担の軽減につながります。
一方で、日に干したり、洗ったりという手入れがしにくいのは、ベッドの不利な点だといえます。ベッドフレームの下にはホコリも入り込みやすく、こまめな掃除も必要です。
簡単に動かせないことは、覚悟しなくてはならない点です。部屋を占有してしまうため、ベッド用のスペースが必要になります。
布団のサイズ選び
昼間は部屋を広く使いたい、日干しなどをして寝心地よく休みたいなど、さまざまな理由から布団を選んでいる人は多いでしょう。
人それぞれの体格や体形が異なるように、布団にも多様なサイズがあります。そんな中から適切なサイズを選ぶ方法について、紹介しましょう。
一般的な布団のサイズ
ベッドの大きさを表す場合に、シングルやダブルといった表現を目にしたことがあるでしょう。布団にも、同様に大きさの種類があります。
適切な布団のサイズを選ぶために、まずは一般的な布団のサイズを知っておきたいものです。
以下に、表としてまとめました。選ぶ際の参考にしてみてください。
名称 | 幅×長さ(単位:cm) | 用途 |
---|---|---|
シングル | 150×210 | 1人で使用 |
セミダブル | 170×210 | 1人でゆったり使用・2人で使用 |
ダブル | 190×210 | 2人で使用 |
クイーン | 210×210 | 2人でゆったり使用 |
キング | 230×210 | 2人でぜいたくに使用・3人で使用 |
ベビー | 95×120 | 0~1歳の子ども向け |
ジュニア | 135×185 | 2~10歳の子ども向け |
昼寝用 | 80×120 | 保育所の昼寝などに用いられるサイズ |
体格に合わせて選ぶ
上記の表のように、布団のサイズはさまざまです。その背景には、日本人の体格に、年々変化が生じてきたことがあります。17歳の男女を例にとって比較してみましょう。明治時代には、平均身長は男子157.9cm、女子147.0cmでした。それが2015年には、男子170.7cm、157.9cmにまで伸びているのです。
かつて布団の基準とされていたサイズでは、体格が大きくなった日本人の生活にマッチしなくなってきました。そのため、ベッド同様に、多岐にわたるサイズ展開がなされるようになったのです。
体の大きな人が小さい布団を使用すると、幅が狭く体がはみ出る、丈が短くて窮屈といった不具合があるでしょう。一方、小さい体に対して大きすぎる布団は、重くて寝返りをうちにくい、布団を畳みにくいなどの弊害もあります。
これらを考慮し、使用する人の体格に合わせて布団を選ぶのがよいでしょう。
ライフスタイルやインテリアに合わせる
生活様式は、人それぞれによって異なります。
狭い部屋に暮らしていて、布団を敷く広さを確保しにくいという人もいるかもしれません。そのような場合は、省スペースタイプの布団という選択肢もあります。一般的なシングルよりも、幅を狭く、かつ長さも短めに作られているのです。
「窮屈な寝床は嫌だ」という場合は、セミダブルやダブルなど大きめのサイズを1人で使用するとよいでしょう。
部屋全体と調和した布団を使いたいなら、インテリアに合わせて、好みのカバーやシーツを選び、トータルコーディネートを展開してはいかがでしょうか。
一般的なサイズであれば、寝具メーカーなどから数多くの布団やカバーが販売されています。部屋の雰囲気に適した、自分の好みにマッチしたタイプをチョイスできます。
敷布団を快適に使うために
毎日の睡眠に不可欠な布団は、快適に使いたいと考える人も多いでしょう。そして、気持ちよく使用し続けるためには、知っておくべきポイントがあります。
購入時に意識しておくべきことや、使い心地を向上させるための方法などについて解説しましょう。
4つのポイントを押さえる
快適な睡眠のためには、布団を購入する段階から意識しておくと有効なポイントがあります。それを4つにまとめました。
まず、理想的な寝姿勢がとれるものを選ぶとよいでしょう。背骨がS字に緩やかなカーブを描く、直立姿勢に近い状態が望ましいといわれています。これを維持するためには、適度な弾力があり、体圧分散をもたらすものがおすすめとされています。
ムレを抑え、通気性のある布団であることも大切と考えられています。布団が湿気を帯びると、寝心地や肌触りが悪くなるだけでなく、カビなどを誘発する原因となる可能性が高まります。
マンションやアパートの床は、コンクリートの上に床材を敷いている場合が多いようです。冬場などは、とても冷たくなるかもしれません。それゆえ、体を冷やさないような保温性も重要と考えられています。
そして、耐久性も必要でしょう。1日に8時間前後にわたって人の体を支える布団には、大きな負荷がかかります。お気に入りの布団にこそ、いつまでも使える耐久性を求めたいものです。
素材による違いを理解する
一見するとどれも同じに見える布団ですが、その機能や性能は異なります。そして、その違いは、中わたなどの素材によって生まれるのです。
自分に適した布団選びをするために、素材別の特徴についても参考にしましょう。
ウール | 綿(コットン) | ポリエステル | 低反発ウレタン | |
保温性 | 4 | 3 | 2 | 3 |
吸湿性 | 4 | 2 | 1 | 1 |
放湿性 | 4 | 1 | 2 | 1 |
耐久性 | 3 | 2 | 2 | 3 |
弾力性 | 3 | 3 | 2 | 4 |
手入れ | 2 | 2 | 3 | 2 |
価格面 | 2 | 4 | 3 | 1 |
注意点 | 虫食いなどに注意 | 放湿性が低く日干し必要 | 吸湿性が低くムレやすい | 温度によって固さが変化 |
敷きパッドを使う
布団で寝る際には、敷布団の上に敷きパッドを使うことをおすすめします。それだけで、びっくりするほど寝心地が向上するとされています。多機能な敷きパッドの働きで、肌触りがよくなることに加え、季節によってさまざまな効果を得られるでしょう。
寝苦しい夏には、冷感効果を備えたタイプが向いています。サラリとした肌触りが心地よく、大量にかく汗をしっかり吸収してくれます。保温効果に優れたタイプもあります。床の近くで寝る布団だからこそ、保温はとても大切です。
敷きパッドの利点は、容易に洗濯できることです。心地よく眠れる春季・秋季の睡眠を、清潔な状態でより快適なものにできる可能性が高まるでしょう。
掛布団の選び方
質の高い睡眠を確保するには、敷布団ばかりでなく、掛布団の役割も重要です。質感や肌触りなどにこだわりを持つ人もいるでしょう。その選び方についても詳述していきましょう。
掛布団選びで重視するポイント
手入れのしやすさについて、しっかりと検討をしておくことが大切です。睡眠中には、約200mlの汗をかくといわれています。清潔さを保つためにも、干しやすさや、洗濯可能かどうかをチェックするのがよいでしょう。
寒くて眠れない状態は、とてもつらいものです。また、体が冷えてしまうと、手足のひび割れやしもやけも促進してしまいかねません。保温性も重要と考えられています。
自宅以外に泊まった場合に、布団が重くて息苦しいといった経験をしたことがある人もいるでしょう。重量感が合っているかどうかも確認しましょう。
吸湿性や放湿性も確かめておくとよいでしょう。また、ダニやカビ対策の加工がなされているかどうかも調べるとよいでしょう。
素材ごとのメリット
敷布団同様に、掛布団にもさまざまな種類の素材が使用されています。そしてそれらにも特徴と違いがあるのです。
人気の素材に、『羽毛』があります。保温性・吸湿性・放湿性のいずれも高いとされており、心地よい眠りをもたらしてくれる素材として人気があります。
『ウール』は、繊維と繊維が絡み合うことで、空気の層を作るといわれています。そのため、保温性に優れた素材として、掛布団にもよく用いられています。
弾力性に富んだ『綿』も、高い保温性を持ち、また吸湿性にも優れている素材とされています。
夏に適しているのは、『麻』でしょう。吸湿性と通気性が高く、高温時には打ってつけの素材と考えられています。
羽毛布団の選び方
羽毛には、二種の鳥の羽毛から作られます。一つは『ダック(あひる)』、もう一つが『グース(がちょう)』です。そして、布団に使用される羽毛には、ダック・グース・マザーグースの3種類があります。
ダックの利点は、低価格でありながら温かいことです。グースは少量でもボリュームが出ることや、ダックに比べて臭いが出にくいといったメリットがあります。
飼育期間の長いマザーグースは、やや高価にはなりますが、ボリュームがあり、極めて高い保温性を有しています。
枕の選び方
スッキリとした目覚めには、理想的な寝姿勢を保つことも重要といわれています。そして、そのために重要なアイテムが枕なのです。
自分にぴったりの枕を見つける方法についても解説します。
自分に合ったサイズと高さ
枕は、自分に適した高さのものを選ぶのが重要とされます。高さが合っていないと、いびきや肩こり、不眠症などの原因につながる可能性が高まります。
ポイントは自分の体形を考慮して決めていくことでしょう。体格がガッチリとしている男性は、高い枕を使用することをおすすめとされます。
小柄な女性や子どもは、低めの枕が適しているといわれます。高すぎると、仰向きになった際に首が絞めつけられるようになり、呼吸を妨げる要因にもなるようです。
素材ごとの特徴
敷布団・掛布団と同様に、枕でも素材に目を向けることは大切です。素材の違いで、頭を乗せたときの感覚は大きく異なるでしょう。
『ダウン』は、ふんわりとした感覚が特徴で、通気性や吸湿性、保温性などに優れているとされます。プツプツ感が独特な『パイプ』は、しっかりとした感覚があり、耐久性も高い素材といわれています。
『低反発ウレタンフォーム』は、柔らかなフィット感が魅力です。首や頸椎をソフトにサポートしてくれるでしょう。
四つの形状から選ぶ
枕の形は、一つではありません。大きさ、高さなどが異なる、いくつものタイプが存在します。枕を形状から選ぶのも一つの考え方でしょう。
多くの人がイメージする形が、『長方形型』でしょう。昔から見られるもので、枕の基本形といえます。
表面の奥と手前に、二つの山が連なるような形の枕が、『首元安定型』です。低反発素材を用いている場合が多く、しっかりと首や頸椎をサポートし、適切な寝姿勢につなげてくれるようです。
近年、よく見かけるようになったタイプが『頸椎支持型』『横向き対応型』です。上下、そして裏表と、向きを自由に変えて、好みのポジションを得られる可能性が高いでしょう。
自分の体形や寝姿勢に合う理想の枕を求めるならば、『オーダー型』を選択しましょう。良好な眠りに近づけるかもしれません。
快眠には布団カバーも重要
睡眠の環境を探るときに、つい布団そのもののことばかりを考えがちです。快眠を求めるならば、布団カバーの重要性も理解しておくことが大切といわれます。
布団カバーの役割
人間は一晩で200mlの汗をかくとされていますが、体から排出されるものはそれだけではありません。皮脂や垢(あか)・フケ・皮膚なども出ているといわれています。
布団カバーをしなければ、これらの汚れがダイレクトに布団に付着することになります。衛生面を考えると、布団カバーをしてこまめに洗うことが望ましいでしょう。
布団カバーは、寒さを抑える効果もあります。使い慣れたカバーは、掛布団や敷布団と肌の間の隙間を埋め、密着させることで冷気の侵入を防ぐ効果もあるとされています。
布団カバー選び三つのポイント
布団カバーにも、数多くの種類があります。その中から自分に合ったものを選ぶポイントを、3点に絞って解説しましょう。
まず、吸水性・吸湿性に優れたものを選びましょう。快適な睡眠には、温度は33度±1度、湿度は50%±5%で寝床内気象を維持することが大切だとされています。この環境につながるアイテム選びを心掛けたいものです。
肌触りも重要といえます。柔らかいタッチが好き、ハリのある感触が欲しいなど、人それぞれによって求めるものは違います。自分好みのタイプを選ぶのがよいでしょう。
そして、体質を考慮して選ぶことも必要です。肌が敏感だったりアレルギーがあったりする場合は、繊細でソフト、かつ衛生的なタイプを選ぶのがよいでしょう。代謝のよい人は、高い吸水性・吸湿性を持つものが適しているといえるでしょう。
好みの布団カバーの見つけ方
布団カバーの肌触りは、生地の質感によって大きく変わります。そして肌触りは、生地の織り方によってその特性が生まれるといわれています。
布団カバーに採用される生地の織り方には、大きく分けて三つあります。『平織り』『綾織り』『繻子織り(サテン)』です。
この中で、最もサラサラとした滑らかな感触を得られるものが、サテンです。他の二つと比べて、繊維の交差が少ない点が特徴です。それゆえ、表面の凸凹が少なく、触れたときのしなやかな滑らかさがあるのです。
もちろん、好みは人それぞれです。織り方が生み出す肌触りの違いにも目を向けてみましょう。
子どもの布団選びはどうする?
睡眠は心身の健康とも関連する大切なものだといわれています。それだけに、子どもの布団選びにはしっかりと気を配りたいものです。大切なポイントについて紹介します。
年齢とおすすめのサイズ
布団のサイズは、体の大きさを考慮して選んでいくことが望ましいとされています。成長が早い子どもは、布団のサイズも、その年齢ごとに見直すのがよいかもしれません。
年齢と、その時期に見合ったおすすめのサイズを、以下の表にまとめました。
年齢 | サイズ | 敷布団(単位:cm) | 掛布団(単位:cm) |
---|---|---|---|
~6カ月 | ベビーベッド | 72×120 | 90×120 |
~3歳 | ベビー | 90×130 | 110×130 |
~7歳 | キッズ | 90×160 | 120×160 |
~12歳 | ジュニア | 90×185 | 135×185 |
成人 | シングル | 100×210 | 150×210 |
おすすめの素材
子どもは、大人に比べて汗をかきやすいといわれています。そのため、できるだけ吸水性・吸湿性の高い素材を採用した布団を選ぶのがよいかもしれません。
まず、敷布団から見ていきます。木綿(コットン)やウールは、吸水性も肌触りも申し分ない素材といえるでしょう。
掛布団に適しているのは、羽毛でしょう。軽さに加え、保湿性も吸湿性も十分とされます。綿は、軽さや保湿性は羽毛にやや劣りますが、吸湿性が高く子ども向けといえそうです。
手入れの簡単さと防菌作用
子どもが使う布団は、どうしても汚れてしまいがちです。汗をかきやすいうえに、よだれなども付いてしまうでしょう。また、ときには粗相をする可能性もあります。
そのため、洗濯機で洗えるなど、手入れが簡単なタイプのもの選んでおくことは、清潔な環境で寝かせてあげるためには大切なことといえます。肌触りはウールや羽毛に劣りますが、ポリエステルなどもおすすめです。
布団の上に、食べ物や飲み物をこぼしてしまう場合もあります。子どもが使う布団には、カビや細菌が発生しやすいため、防菌や防カビなどの効果のある布団もおすすめといえます。
まとめ
日々の生活に欠かせない布団は、必須なアイテムだけに、慎重に選びたいものです。肌触り・寝心地・機能・デザインなど、選択にはさまざまなポイントがあります。
体調や健康にも関連するだけに、ポイントを押さえて、適切な布団選びをしましょう。